今日で最後
そうして久しぶりに連絡をとって、会うことになりました。
その日、私は仕事が遅くまでかかりそうなことは前々から分かっていました。
なので、彼に会うために頑張って追い込みをかけて時間を作りました。
彼はその日、職場の歓迎会でそれが終わり次第会うことになりました。
お店が職場の近くらしく私がお迎えに行くことに。
彼から珍しく電話がきて「場所分かるかな?さすがにあまりにも近くまではマズイから、俺が歩いて〇〇まで行くよ!」
「あっ!あきちゃんの車見つけた!」
「えっ!?どこー?」
「違う違う!あっ!そのまま!後ろ見て?」
「あれ?ん?あっ!いたー!」
「はい!じゃあ、切るよー!」
久しぶりだし、ドキドキしたけど、こんな待ち合わせのやり取りが楽しかった。
「久しぶり。」
彼が私の助手席に乗り込みました。
「あきちゃん、変わらないね。」
そう言ってくれた彼の口調は前と変わらず優しかった。
この日は別にホテルに行かなくてもよかった。
顔が見れたら、それでよかった。
でも、彼の職場の近く=彼の家の近くでもあるから、下手にウロウロできなくてホテルに行くことにしました。
行きの車内はなに話したかな?
たわいもない話しだったと思います。
久しぶりに会っても私たちの空気感は変わりませんでした。
話したいことはたくさんあったけど、上手く言葉が出てきませんでした。
せっかく久しぶりに2人になれたのに時間があまりなくて、あっという間に帰る時間。
私が「もうちょっとだけ一緒にいて?あと10分でもいいから!笑」
って毎度恒例のワガママ(笑)
私、これ毎回言っちゃってます😅
彼は「そうやって言ってもらえるなんて、嬉しいよ。」
って昔は言ってくれたなー。
その日も「えー!無理だよー。」
って言ったけど、結局ワガママを聞いてくれました。
でも、帰る頃になるとやっぱり言いたかったことがフツフツと湧いてきました。
「あのね…やっぱりずっと会えないのは寂しくなるよ。嫌われたんじゃないかな?って色々考えちゃうのが、もう嫌なの。」
「もしかして奥さんが妊娠したとか?」
私はわざと明るく聞いてみました。
彼は「違うよ。実は…家を買って。それでバタバタしてた。引っ越しとか色々。俺の小遣いも減らされたし。だから、今までみたいな頻度では難しいかな。」
「そっか…。私にはなんで言ってくれなかったの?別に言う筋合いもないと思うけどね。」
「私がその手の相談は聞きたくないって前に言ったから?」
「そんなことで、もう怒ったり拗ねたりなんてしないよ。」
彼は黙ってた。
時々小さい声で返事をしたりはしたかな?
私は……
苦しかった。
なぜだろう。
2年間で私は何も変わっていないのに、彼の家庭は幸せな方向に変わった。
それが悔しかった。
嫉妬。見苦しいぐらいに心の中で嫉妬した。
でも、それは顔には出さなかった。
わざと明るくもしました。
もうすぐ…彼のマイホームに着く。
「ちょっと見て行こうかなー!」
わざとふざけてみた。
彼は「いやいや…ダメだよ。」
困った顔をしてました。
明るく振舞っていたけど、私はもう限界でした。
彼が「この辺りでいいよ。もう近くだから、ちょっとヤバイな。この辺りは。」
そう言って慌てていました。
私は「ちょうどいいタイミングかもね。これでもう会うのやめない?もう私は充分。」
彼の手を握って握手して、「ありがとう。もう今日で会うのは最後ね。」
彼は「本当にいいの?もう諦めたの?」
諦めた?
諦めたってなに?
自分のことをずっと追いかけてる哀れな女だとでも思った?
「えっ?最初から何も期待してないけど?」
それだけ言って車を発進させました。
あー、やってしまった。
もう本当の本当に終わりだ。
悲しいというより虚しかった。
相変わらず彼からは連絡もなかった。
こんなものか。
終わる時って驚くほど呆気ないんですね。
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